お金に困っていた時、パソコンやスマートフォンでふと見つけた求人広告。
- 「誰でも即〇〇円稼げまず
- 「スマホだけでOK」
- 「1ヶ月で数百万が手に入る」
このような宣伝に興味を持った貴方。
ちょっと待ってください。
世の中簡単にお金を手に入れることはできません。
楽して稼ぐなんてできないことに気づいて下さい!!
ここではそんな危険なバイト、いわゆる「闇バイト」について紹介します。
出会い系サイトのサクラ
「サクラ」という名のとおり、出会うつもりもないのに出会い系サイトに登録し、男性とメールやチャットのやりとりをして男性側に有料のポイントを使わせる仕事のことです。
中には性別を偽って(つまり男性が女性と偽って)メールのやり取りを求める仕事もあります。
- 「メールスタッフ募集。時給1,500円~2,000円も可能!」
- 「チャットオペレーター急募。自宅にいながら時給3,000円以上も稼げる!」
- 「在宅コミュニケーションスタッフ募集。スマホひとつで自宅や通勤途中でも対応可能!」
「出会い系サイトのサクラ募集」という表現では求人を行いませんが、このようにあやふやに表現を変えて実際の求人サイトで堂々と募集されています。
出会い系サイトでは、お客がポイントを購入して、メッセージのやりとりをするとポイントが消費される仕組みになっています。
サクラはとにかくメッセージのやり取りを多くして、ポイントを消費し、ポイントを追加購入させることが仕事になります。
その目的で自分では全くその気も無いのに、お客に「会う」ということを匂わせたり、恋愛感情を抱かせたりするようにやり取りを行います。
サクラのバイトは、お客とメッセージのやりとりをするだけでお金をもらえるので、一見はかなり割がいいバイトに見えてしまいます。
メール1件の返信につき20円~30円程度、チャット1分あたりでは9円~11円が報酬の相場とされています。
男性に思わせぶりなメールをして1~2時間程度メールのやり取りをすれば、すぐに10通~20通のメールやり取りができますので、その気になれば時給2,000円~3,000円程度は簡単に稼ぐことができる仕組みになっています。
しかし、サイトの利用客は、やり取りをするためにポイントを購入しているので、その相手が会社側のサクラだと主張すれば詐欺罪の対象となります。
最初から男性を騙すつもりで登録し、その目的でサイトを利用して男性側に無駄なポイントを浪費させた場合、詐欺罪が適用されて罰せらる危険があります。
アルバイトだからといって逮捕されない、ということはありません。被害額その他の状況で、立件される可能性も十分考えられます。
また、警察に事情聴取を受ける可能性は非常に高く、普通の人であれば、警察から事情聴取があるだけで、精神的なダメージを受けてしまいます。
また、実際サクラとして働く人は、一日中男性を騙していることを知りながらメールやチャットを続けていくわけですので、最初はともかく徐々に精神的ダメージが蓄積されているパターンも多くなります。
パチンコ店のサクラ
パチンコやパチスロでもサクラのバイトを応募する先があります。店長から当たりの出やすい台を指定され、そこでひたすら打ち続けるバイトです。
傍らから見ると、その店が「出やすい」店のように見せることが目的で、出した玉の50%程度が報酬として渡されます。
一見、比較的リスクが低いバイトのように思えますが、ここでも詐欺罪が適用される危険があります。そもそも客を騙す行為ですので、利用者から指摘を受けると、警察の事情聴取を受ける可能性もあります。
また、このようなバイトを応募しているパチンコ店などは、反社会的勢力が関係している先がほとんどです。関係を持つこと自体がリスクが高いといえます。
一方、パチンコ屋と何も関係ない部外者が、インターネットなどで「パチンコのサクラバイト募集」という求人を行っていることもあります。
応募者には「明日〇〇店の▲▲台で打ち続けて下さい。出した玉の□□%を報酬としてお支払いします」と提示します。
しかし全くの部外者ですので、指示した台が当たるとは限りません。
応募者はそれだけお金を損して、指示時に手数料などを支払われる詐欺に巻き込まれる、という危険の高い募集です。
ダフ屋
人気の高いコンサートのチケットなどを転売目的で入手して、欲しがっている方に高額で売りさばくのが「ダフ屋」いわゆる「転売屋」です。
仕入れ値よりも高額で売って利益を得る、という一見問題のないビジネスに思えますが、このような行為はれっきとした違法行為です。
チケットは発行できる数が決まっており、それを主催者が利用者にとって適正な価格で販売しています。
そのため、チケットを大量に買い占め高額で売りさばく行為は迷惑行為と判断されます。
そこで各都道府県の迷惑防止条例では、公共の場所でチケットを転売することを禁止しています。
違反した場合の罰則は、各都道府県で異なりますが、数ヶ月の懲役や数十万円の罰金が科せられるようになっています。
気軽に思えるダフ屋行為で大きなリスクを背負うことになります。
出し子のバイト
振り込め詐欺の被害者が振り込んだ口座から、そのお金を引き出す仕事で、このような人を「出し子」と呼んでいます。
「わずか数分で高額報酬!」というような曖昧な求人を行います。
お金を引き出すだけの労力を必要としない内容で、報酬相場は数万円~数十万のケースもあります。
当然ながら、振り込め詐欺に加担すると犯罪行為が問われます。
引き出しに訪問したATMには防犯カメラが設置されています。
警察は、ATMも防犯カメラをまず最初にチェックしますので、最初に警察に容疑者にされるのは出し子になります。
その結果「実行犯」として逮捕されてしまうのです。
「自分は知らなかった」と主張しても認められません。銀行に対する窃盗罪が適用され、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられることもあります。
最近は振り込め詐欺の手口も多様化しています。
合わせて「出し子」以外にも様々な犯罪加担のバイトが求人されています。
しかし主犯者が直接、振り込め詐欺の対応に関わることは少なく、まずはこのような末端の「出し子」などが逮捕されることになります。
荷物受取のバイト
- 「荷物を受け取り、転送するだけで稼げます!」
- 「荷物の数に応じて数千円から1万円の報酬が入ります!」
このような宣伝で求人を行うインターネット広告もあります。一見簡単で魅力的な内容ですが、決して騙されてはいけません。
最初の内は、提示された通りの報酬が口座に入金されますが、後々に身に覚えのない請求書が大量に届くようになります。
慌てて募集担当者に連絡をとっても連絡がつかずに、詐欺に騙されたことに気づきます。
雇い主や荷物の詳細が不明な情報には、決して関係を持たないようにしましょう。
簡単な作業で高額な報酬を得るビジネスは決してありません。
口座売買のバイト
使わなくなった自分名義の口座を売買して報酬を受け取る仕事です。報酬の相場は、1口座につき2万~4万円程度とされています。
時間や労力が必要なく、これだけの報酬を受け取ることができる、かなり魅力的な内容です。
しかしこのような経路で売られた口座は、詐欺グループによって「振り込め詐欺」などの振込先として使用される可能性がかなり高くなっています。
被害が発覚した場合、警察が真っ先に調べるのは、詐欺に使用された口座の名義人です。当然、警察の事情聴取をうけることになります。
さらに、詐欺に使われた口座は凍結され、その結果、口座が使用できなくなるだけでなく、その金融機関では二度と取引できません。
そもそも自分の口座を売ること自体が、法律で禁止されています。
金融機関との契約でも口座売買が禁止されていますので、詐欺罪も適用されます。
「犯罪に使われると知らなかった、自分は無関係」と主張しても認められず、振り込め詐欺の加害者として逮捕されることもあります。
犯罪グループは自分の足がつかないために、口座を高値で買っているので、口座を売った時点で、犯罪グループに名義を貸してしまったようなものです。
携帯電話の名義貸しのバイト
携帯ショップで自分名義の携帯電話を新しく契約し、その携帯電話を求人者に渡します。1回あたりの報酬は3万円程度とされています。
しかし、しばらくすると携帯売却者などからの連絡がとれなくなるだけなく、携帯電話会社から莫大な金額の通信請求料が請求されることになります。
名義貸しされた携帯電話は、闇金などの取り立てに使用されるケースが多くなっています。
ただし携帯の名義人は自分のままですので、高額な通信料が請求うされることになるのです。
そもそも、携帯電話不正利用防止法では、自分の携帯電話を家族以外に譲るときは、事前に通信事業者の承諾が必要だと定められています。
有償で他人に貸していれば、2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が課せられる可能性もあります。
クレジットカードの現金化のバイト
普段、ショッピングなどで利用しているクレジットカードを悪用する仕事です。ショッピング枠で商品を購入して転売させる手法です。
転売した代金は業者側が受取り、そこから手数料を差し引いた金額が利用者に振り込まれます。
つまり現金化では100%換金されるわけではありません。
約80%程度が相場とされていますが、クレジットカード代金は100%返済していく必要があります。
また、クレジットカードを換金目的で使用することは、クレジットカードの利用規約に抵触します。
クレジットカード代金が残っている商品は売却してはいけないとされていますので、万が一発覚すると、クレジットカード代金を一括で返済しなければいけなくなるだけでなく、カードの利用停止や強制解約の処置を受けることになります。
このカードの強制解約は金融事故情報、いわゆる「ブラック」の情報として記録されます。以後、金融機関からの借入だけでなく、新たにクレジットを作ることもできなくなります。
以後の人生設計にも大きな悪影響を与えることになります。
新型コロナウイルスの影響は?
2020年春以降、新型コロナウイルスの影響で全世界が大混乱に陥っています。
日本でも多方面で悪影響を及ぼし、緊急事態宣言解除後も感染拡大が続いており、予断を許せる状況ではありません。
このような中、収入減少により生活が苦しくなった方をターゲットにした、悪徳商法が大きな社会問題になっています。
これまで述べてきたような「危険なバイト」に成人だけでなく、未成年も巻き込まれています。
メモ特に、これまでのバイト先から解雇を受けた学生などが、ふとパソコンやスマートフォンで見つけた求人に応募する被害は深刻です。
中には「危険なバイト」と認識していても、身を投じてしまう方もおられます。
悪徳業者にとって、新型コロナウイルスの状況は好都合な側面もあります。
法律や規制の網をかいくぐって、様々な商法を勧誘しており、やむなく手を染めてしまう未成年も多くおられます。
新型コロナウイルスの影響はまだまだ続きます。身近な大人が気を使い、子供たちを守る必要があります。
少しでもおかしな行動などに気づいたら、よく話し合い、解決策をともに探していくことが大切です。
コロナ禍においても、まともな求人はあります。国や地方地自体も様々な支援策を講じています。
どうしても生活が苦しい方は、まずは専門家などに相談するようにしましょう。
決して安易に危険なバイトに手を染めることはやめてくださいね。
まとめ
どのような時代でも、弱者の弱みに付け込む悪徳業者は、残念ながら無くなりません。
これまで述べてきた手法だけでなく、様々な悪徳商法が次々と生みだされています。
一見、手間もかからず簡単に稼ぐことができる、と思われる求人には、決して惑わされないという強い気持ちが大切です。
この世の中、それほど甘いものではありません。
少しでも不審を感じた方は、専門機関や信頼できる方に、相談してアドバイスを受けるようにしましょう。